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第30回 PEファンドの実務〜妥当な判断を導く仕組み〜

CVC Asia Pacific シニアエグゼクティブ/東洋学園大学客員教授 −添田 眞峰


 ▼妥当な判断を導く仕組み
 
 前回は経営資源と経営環境の判断について説明した。
 今回は 「妥当な判断を導く仕組み」 について説明する。


 【妥当な判断を導く仕組み】

 こうした難しい案件について組織の中で妥当な判断に導く仕組みが上手く
 できているか否かが投資ファンドの能力の差である。組織の中にしみこんだ
 技の違いである。
 尤も、これは高度な審査システムやデータベース等、目に見える科学的な
 技能の差ではない。むしろ、これから述べる常識的な検討を丁寧に行う組織
 文化や、それを支えるインセンティブの体系を具備しているか否かである。

 すなわち、第一には、投資ファンドの担当者のプロフェッショナルとしての資
 質と訓練である。一流の投資ファンドでは、それこそ、パートナーからアソシ
 エイトまでの物事を多角的に見る訓練を経験の中で積み重ねてきている。
 そうした能力を実務の中で研鑽するカルチャーが組織の中に流れているの
 である。即ち、常にチームを組んで案件を多角的な目で見るのだ。
 たとえば、担当者に対して、パートナーが、「この会社の経営資源の良い点
 と悪い点を上げろ」と質問を発したとき、担当者は咄嗟には、「良好な販売
 網、コスト競争力が高い、優良な顧客を持っている」等、抽象的な答えしか
 出せないことがしばしばある。
 そこから、本質に迫る作業が始まる。具体的には、良好な販売網とは何
 か?
 数字は良好というほどの数字ではないではないか?将来潜在的にこの販売
 網が生きるといえる根拠は?と問題を抉り出すまで延々と質問と検討が
 続く。

 一方で、担当者が即座に良い点が挙げられないような案件では、逆にパート
 ナーが仮説を示し、その案件への投資を進めるために最低限必要な要件は
 何か?といった別の角度からの質問を投げかける。
 再度DDの現場に戻って抉り出した問題点の回答を探すのである。
 同じようなプロセスは、パートナーが率いるチームとほかのパートナーや投資
 委員会との間でも、幾度となく繰り返される。
 第二には、攻撃的に案件を取り組むモチベーションと、難しい投資案件を自
 生する仕組みとが、強いインセンティブとリスク負担で上手くバランスしてい
 るか否かである。投資ファンド内部の投資資金は限られているので、自分た
 ちが手がける案件に資金配分を得られるかどうか、投資チームの間の激烈
 な競争となる。投資しなければチームのメンバーは成功報酬にありつける入
 り口に立てない。
 即ち、投資ファンドの運営内規や投資ファンドの投資契約によって投資担当
 者が個別投資案件に自ら資金を流入する等、リスク負担を求められる場合も
 あるからである。もし、その投資案件が投資リターンをもたらさなければ、ほ
 かの投資案件で上がった報酬が減額されることに加え、そもそも、個人が当
 該案件に投資した資金もリスクにさらされる。
 このように、組織の中に攻撃的に行動するインセンティブと自制を促すインセ
 ンティブが同時に埋め込まれていて、それがプロフェッショナリズムと結びつ
 き、難しい定性的な案件を妥当な判断に落ち着かせることが出来るのである。

 今回は 「妥当な判断を導く仕組み」 について説明した。
 次回は投資判断を左右する経営者と株主価値創造の原理について説明する。



●ご注意●
この講座は、著書「プライベートエクィティ投資」の要約を掲載 していますので、
無断転載はご遠慮ください。


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