投資実行段階は、投資案件を作り上げる過程です。
ベンチャーキャピタル投資や成長資金投資のように、投資額が数百万円から数億円と比較的少額で、ファンド資金のみでまかなえる場合、「単純投資」のプロセスに従い、事業計画の検討と投資条件の交渉合意により取引は完結します。
バイアウト投資や企業再生投資では、投資額が数十億円から数百億円と多額になる場合は、銀行などからの、買収資金調達が絡んでくるので、取引の完了まで時間がかかるだけでなく、複雑な過程を踏むことになります。
一般的には、案件の検討を始めてから取引が完了するまでに6ヶ月から10ヶ月程度を要します。
具体的な手順は
- 投資案件の発掘のためのマーケティング活動
- 投資案件を評価するデューデリジェンスと呼ばれる調査手続き
- 投資ストラクチャーの検討(これには、買収資金の仕組み、受皿になる新会社の設立と取引主体の検討、取引に関する最適な税務負担を実現できる仕組みの検討等が含まれる)
- 投資条件の交渉(これには、買収案件、買収資金調達の条件交渉、投資家間の投資契約、経営者の雇用契約等の交渉と合意した内容の契約化等が含まれる)
- 資金の引渡しによる取引の完結(クロージング)
となります。
以後の説明ではバイアウトや企業再生投資を前提に説明を加えていきますが、投資対象事業の性格の違いから留意点は多少異なることがあるもののベンチャービジネスへの投資も本質的に抑えるポイントは共通です。