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第26回 PEファンドの実務〜その他のPE取引の仕組み・ベンチャーキャピタル型投資〜

CVC Asia Pacific シニアエグゼクティブ/東洋学園大学客員教授 −添田 眞峰

 ▼その他のPE取引の仕組み・ベンチャーキャピタル型投資

 前回は、ハゲタカ型と呼ばれる企業解体型投資について説明した。
 今回は 「ベンチャーキャピタル投資」 について説明していこう。

 【.ベンチャーキャピタル投資の特徴】

 ベンチャー企業の創業は、自らの技術開発やアイデアを実現すべく起業家の
 自己資金やエンジェルと呼ばれる個人の支援者から資本と集めて活動を始
 めるのが一般的である。その後、事業の芽(シーズ)を具体化する段階にな
 ると、外部からの資金調達が必要になる。
 創業期のベンチャーへの投資は、他の成熟期の投資に比べると、ハイリス
 ク・ハイリターンである。小額の投資が1000倍もの投資収益をもたらすケース
 もあれば、1年足らずして事業の継続が困難になることも多い。
 一般には、10件投資して1件当たれば良い方である。
 こうした投資の性質を勘案して、ベンチャー投資の仕組みにおいて他のプライ
 ベートエクイティの手法と異なるいくつかの特徴があるので、紹介しよう。

 1.ステージドファイナンス
 ベンチャー投資の特徴の第一は、ステージドファイナンスによる投資実行方法
 である。ステージドファイナンスとは、技術開発やサービスモデルの構築に具
 体的ターゲット(マイルストーン)を設定して、ターゲットをクリアするごとに分割
 して実行する仕組みである。
 これにより、投資家は投資リスクを管理しながら事業の離陸をモニターするこ
 とができる。また、離陸後の資金調達も一般には成長の段階に応じて調達す
 ることになる。
 
 2.出資証券の種類
 第二は出資の形態である。投資家の出資は起業家の普通株式に清算分配
 権で優先する種類株式、あるいはその他の債券を組み合わせるような形で実
 行される。
 優先株は調達の時期に合わせシリーズA、シリーズB、シリーズC等の異なる
 種類による発行である。もし事業が順調に進まないと、投資家は計画と事業
 の進捗の詳細を各マイルストーンや、新たな資金調達のシリーズをもとに、資
 金の継続的な支出を続けるか判断するのである。

 3.希薄化の問題

 第三には出資株式の希薄化をめぐる契約条件である。起業家は独立心と自ら
 の事業への所有意欲が高い人々である。第一回の外部資金調達では起業
 家は自らの支配権を維持しつつ、いかに資金調達を行うかに腐心する。
 一般に投資家は起業家やエンジェルの払い込み価格の10倍以上の価格で
 出資に応じるが、この見返りとして清算時の分配請求権や以後の資金調達に
 おける投資家株式の希薄化を保護する契約が結ばれる。

 希薄化保護のための条項には、フルラチェットや加重平均ラチェットと呼ばれ
 るメカニズムが用いられる。

 例えば、創業期のベンチャー企業は次のような状況におかれることがしばしば
 ある。即ち、事業のおかれる環境は急速に変り、環境は必ずしも順風満帆で
 はなく、また事業の運営状況も予定した事業計画には大きく遅れた状況に直
 面する。

 しかし、事業を離陸させていくには資金が必要である。こういう状況にあるベン
 チャーが資金調達を計画する場合、最初の資金調達に応じた投資家は、今計
 画を止めれば残余財産の処分によって投資の一部を回収できるので資金の
 実行を止めたいと考えるはずだ。
 一方、起業家は清算されれば配当はないので、他のソースからの資金調達を
 行い、同時に自らの会社の支配権を確保することを目指すだろう。
 もし当初の資金調達より格段に低い企業価値評価で、他の投資家から資金
 調達が実行されると、投資家の株式比率は大幅に下げられ、経営に対する
 発言権も格段に落ち、実質投資株式の償却を迫られる事態が起こる。

 フルラチェットとは、投資家が新たな資金調達に参加しなくても当初の持株比
 率を維持する株式比率の調整がなされることを補償される契約である。
 また加重平均ラチェットとは、新規資金調達価格で投資家の出資を評価した
 場合に想定される持ち株比率を維持するように株式比率の調整がなされるこ
 とを補償する契約である。
 
 投資ファンドの観点から見た問題は、成長を経るにつれて大きくなる起業家の
 エゴとどう対峙するか、より具体的には少数株主であることで生じるコントロー
 ルの問題である。
 アメリカのベンチャーキャピタルの企業運営に関する契約意識が明確であるの
 で、この点は常に投資契約や出資契約の中で詳細に取り決めが行われ、モ
 ニタリングやガバナンスの体制もきちっと構築されるのである。

 今回は 「ベンチャーキャピタル型投資」 を説明してきた。 
 バイアウトやLBO、買収契約、再生型t投資などPEの取引について連載をして
 きたが、次回以降は「投資判断、モニタリング、エグジット」について詳しく述べ
 ていきたいと思う。


●ご注意●
この講座は、著書「プライベートエクィティ投資」の要約を掲載 していますので、
無断転載はご遠慮ください。


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