投資銀行・不動産金融・投資ファンドの転職支援 kotora

投資ファンドを研究する人のための情報サイト - プライベートエクイティ.jp

(提供:金融の転職、経営/コンサルの転職をサポート【株式会社コトラ】

プラベートエクイティ編

  投資ファンド業界情報TOP > プライベートエクイティ編 > 日本のバイアウト投資

第22回 PEファンドの実務〜日本のバイアウト投資〜

CVC Asia Pacific シニアエグゼクティブ/東洋学園大学客員教授 −添田 眞峰

 ▼日本のバイアウト投資

 前回は投資の類型(MBIとIBO)について説明した。
 今回は 「日本のバイアウト投資)」 について説明する。


 【日本のバイアウト投資】

 日本ではバイアウト投資が紹介されまだ日が浅い。だが、その間にも投資
 に必要なインフラストラクチャーは経済産業省の強力な後押しで急速に
 整備されつつある。また、投資ファンドへの資金も徐々に集まるようになった。

 しかし、バイアウトを支える経営者、即ち「健全に成長した個人主義とリスク
 にチャレンジする精神を有する個人や職業経営者」はいまだ育っていると
 はいえない。

 日本におけるバイアウト投資は50件を超えようとしているが、その多くが
 IBOスタイルで、取引を成立させた後に経営者を人材斡旋会社のサーチに
 より雇用することが一般的である。
 投資関係者は一様に、日本にはいまだ職業経営者の市場がなく、リスクを
 とりチャレンジする個人が少ないと指摘している。

 さらに言うと、契約観の点では、日本では「あうんの呼吸」というように、
 文書化して確認しなくてもお互いの暗黙の了解や信頼に基づき行動する
 という慣行が、今なお、人々の意識の中に強くある。
 このため、インセンティブとコミットメントを明確な契約原理の中に取り入れた
 投資の仕組みが受け入れられているとは言い難い。

 もしかしたら、日本では欧米のスタイルによる契約の原理は働かないの
 かもしれない。

 しかし、投資のスタイルに何が正しいというものはない。
 試行錯誤の積み重ねの中で最も収益の上がる手法がそのときの主流に
 なるのである。

 アメリカ型の投資や英国型の投資が過去すべての時期に上手く機能して
 きたかといえばそうではない。
 PE投資のおいてもその短い歴史の中でもバブルとバブルの破裂を繰り
 返し、試行錯誤しながら投資のパフォーマンスを上げる仕組みに改良して
 きたのである。

 とはいえ、投資原理に共通する要素は、人々の貪欲さから派生する
 インセンティブとコミットメントの力である。

 いかにこの原理を日本的な風土に合わせて実践していくかが投資成功の
 鍵となる。
 また、この投資プロセスを上手くマネージできた投資家こそが高い
 パフォーマンスを上げていけるのである。

 【 リップルウッドの事例 】

 日本での事例としてひとつ紹介しよう。
 日本社会において異論も多いだろうが、最も成功している投資家は米系
 資本のリップルウッドである。

 旧長期信用銀行を買収し新生銀行へとモデルチェンジを図って2004年
 再上場を果たし、投資を回収するとともに上場した株価総額から見て巨額
 の含み益を得ている。

 新生銀行のほかに旧日本コロンビア、宮崎県の巨大リゾート“シーガイア”、
 日本碍子の子会社であった旭テック、日本テレコムなどのバイアウトを
 実行している。

 リップルウッドの投資手法の特徴は、アメリカ型のバイアウト(IBO)を実行す
 るため、戦略産業と決めた産業にインダストリアルパートナーという職業
 経営者をパートナーとして抱えていることである。
 彼らは投資対象の発掘を助け、案件の吟味をするとともに、投資決定後は
 その投資対象先の社外重役や場合によっては社外重役として送り込まれ
 るのである。

 リップルウッドのリターンを上げる仕掛けは、リスク負担を外部に散らせて
 リスク額を少なくし、一方、会社のキャッシュフローからフィーを徴収して
 投資利回りを上げる手法である。

 日本テレコムのバイアウトでは買収価格は交渉により徹底的に安く押さえ
 込み、売り手にもリスク負担をさせる一方で巨額のアレンジメントフィーを
 投資先企業のキャッシュフローから徴収する。
 こうして、投資の早期回収を確保しながら、買収資金はレバレッジを徹底的
 に利かせてリターンの上がる仕組みを作り上げた。

 新生銀行のケースでは、有名となった瑕疵担保条項による国へのリスク
 負担の移転や、投資のシンジケーションと巨額のアドバイザリーフィーにより
 自らのリターンを上げる仕掛けを作った。

 起用する経営者には巨額のインセンティブを与えて、強力なコミットメントを
 確保し会社の事業モデルを一気に変えていくのである。
 つまり、経営者は徹底的な経済的インセンティブで動機付けられて投資家
 の株主価値の実現という方向に向かって突き進むのである。

 投資の交渉過程は契約を署名するまではあらゆる手段で条件の交渉を
 行い、自らの有利なポジションを獲得するまで粘り強く交渉する。
 典型的なアメリカ型バイアウトの手法である。

 リップルウッドのスタイルは、当初は、日本でハゲタカ投資家と呼ばれ散々
 の評判を取った。
 あまりにもアグレッシブな姿勢がはげたかの呼称を与えられた理由と思わ
 れるが、リップルウッドの投資スタイルはインセンティブとコミットメントの
 原理による典型的なバイアウト投資なのである。

 今回は 「日本のバイアウト投資」 について説明した。 
 以上数回にわたり、バイアウト型投資の仕組みについて述べてきたので、
 次回からはその他のPE取引の仕組み(企業再生投資やVC投資)に
 ついて紹介していこう。


●ご注意●
この講座は、著書「プライベートエクィティ投資」の要約を掲載 していますので、
無断転載はご遠慮ください。


投資ファンド情報
フリーキーワードで探す
系列
国内系 外資系
証券 銀行
商社 生損保
事業会社 政府系
独立 その他

投資カテゴリー
バイアウト 再生企業
ベンチャー 不動産
債権 区別無し

 

投資ファンド業界情報 満載のメルマガ 金融の転職、経営/コンサルの転職をサポート【株式会社コトラ】 金融セミナー検索サイト セミナーサーチ 大学院生、理系大学生のための就職・就活情報サイト「コトラミ」 ビジネスパーソンのインテリジェンス情報サイト「コトラプレス」





  copyright(c)kotora all rights reserved会社概要お問い合わせサイトマップ