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第20回 PEファンドの実務〜投資の類型(背景とMBO)〜

CVC Asia Pacific シニアエグゼクティブ/東洋学園大学客員教授 −添田 眞峰


 ▼投資の類型(背景とMBO)

 前回は投資契約について説明した。
 今回は 「投資の類型(背景とMBO)」 について説明する。


 【投資の類型(背景とMBO)】

 <バイアウトモデルの背景にあるもの> 
 会社制度が成立し、経済活動で個人と会社が分離して以降、会社という
 箱を利用して株主、経営者、債権者が富の創造と配分活動を繰り返して
 きた。
 市場の力が加わると、この貪欲な力はさらに増幅され、事業収益を上げる
 ため競合企業とカルテルを結んだり、事業を拡張するために会社の乗っ取
 りや、会社の支配権をめぐる闘争を繰り返す等、ダイナミックに展開してきた。

 富は人々の活動により作り出されるので、人々の貪欲な活動がなければ
 経済活動が活性化しないことは自明のことであり、謂わば人々の貪欲が
 経済を動かす力となってきたのである。

 歴史的には産業革命時の起業家も、アメリカで鉄道が建設され鉄鋼や自
 動車など近代的な産業が成立する過程でも、最近では情報産業が勃興し
 ネットワーク社会が出現する過程においても、必ず個人にもまた社会の中
 にも富をめぐる貪欲な活動が高まり、結果として、これが社会の豊かさを作
 り出してきたともいえる。

 成熟期の産業社会からポスト産業主義の社会への移行、市場型社会の
 出現、グローバル化の進展は必然的に新たな環境を生み出し、新しい取
 引機会を提供する。これまで繰り返されてきたのと同様に、人々の貪欲な
 力が富の創造と社会の活性化へと導くのである。

 アメリカにおいて1980年ごろから市場原理がいっそう進展し、株主と経営
 者の会社の価値をめぐる対立が先鋭化した。
 これに符合するように投資ファンドが市場の内外で盛んに活動するように
 なったのは、新しい取引機会を求める起業家や経営者のニーズや市場で
 より高い投資収益機会を求める機関投資家のニーズに対応した必然的な
 流れであったのである。

 その後、アメリカで誕生した投資ファンドが英国に移植されて英国型MBO
 が確立され、英国型のMBOは市場原理の浸透とともに、市場型の取引に
 展開していった。
 この間の経緯は、経済社会の転換期において投資ファンドがいかに個人
 の起業家精神を刺激し、経済風土に応じて固有の取引形態を作り上げて
 きたかを知る上でまことに興味深い。

 また、この歴史的な展開過程には、米・英の歴史的な経済社会風土の
 相違に基づく投資ファンドの考え方の違いが、市場原理に基づく富の創造
 へと収束されていく姿が凝縮されているのである。
 
 そこで英国型のバイアウトの展開に触れながらバイアウト型の投資手法を
 説明することとしたい。
 英国ではバイアウトの投資形態を取引を動かす主体から
 MBO、
 Management Buy-In(“MBI”)、
 Institutional Buy-Out(“IBO”)
 という分類をしている。
 この分類の仕方は英国におけるバイアウト投資の考え方と市場の変遷を
 語っているともいえる。


 < MBO(“マネージメントバイアウト”) >

 MBOの定義を再度確認すると、「経営者が自ら経営する事業を投資家の
 支援を得て買収し、経営することである」。

 1980年代に確立した英国型MBOの典型的なモデルは比較的小型の事
 業を、経営者が取引を主導して、自らが大きな株式所有比率(場合によって
 は50%以上を支配)を確保する形で事業を買収するものである。
 MBOが実行された典型的な状況は、非効率な事業の再編が進行する
 グループ傘下におけるノンコア事業においてである。

 サッチャー政権のドラスティックな規制緩和政策を展開する中、かつては、
 労働争議に明け暮れ、生産性の低下に呻吟していた英国企業は1980年
 代半ばから急速に事業再編を進めた。
 この過程では、企業は生き残りのためにノンコア事業の売却を検討し、
 ノンコア事業を運営する経営者は進んで独立のための事業計画を作成し
 投資ファンドに売り込みを図ったのである。

 投資ファンドは経営者の事業計画と事業計画に対するコミットメントとを
 よりどころに投資するのである。

 既に触れたように、株主価値を実現するインセンティブとして、ラチェットと
 呼ばれるメカニズムを使うことが多い。
 ラチェットとは一定の基準を超えるパフォーマンスを上げた場合に投資家
 の株主比率を引き下げ、経営者株主の株式比率を引き上げることで経営
 者の成果に対して報いるのである。

 投資家が最も好む方法は、インセンティブの設計において説明したごとく、
 株主価値が実現する水準に応じて決められた株式比率の変更を行う仕
 組みである。
 この仕組みにより、経営者は自らの投資をより高い価値で実現するイン
 センティブを与えられ、経営は株主価値の実現を目標に一元化する。

 投資ファンドは経営者の株主としてのリスク負担と経済的な動機付けが
 適切になされていることで経営者のコミットメントに確信を持ち、安心して
 資金を投下するのである。
 その背景には経営者こそが事業の潜在性を理解しており、経営者が自ら
 立案する事業計画に大金を投じることが事業計画の真剣かつ慎重な検討
 を担保すると考えられるからである。

 こうして、投資ファンドはMBOこそが、確実に投資価値を実現できる投資
 手法と考えるのである。

 一方、経営者にとって投資ファンドは経営の独立と経済的な報酬をもたら
 すパートナーとしての存在である。
 即ち、経営者だけでは、出資金を賄い、買収資金を調達し、MBOの仕組み
 を構築することはできないので、投資ファンドと運命共同体を構築して事業
 計画を実現し株主価値を実現しようというのである。

 MBOの仕組みの大枠は、投資契約によって担保される。具体的には、
 1, 経営者の事業計画へのコミットメント:
 即ち、経営者は事業計画を十分な調査と思慮深い洞察を行った上で作成
 したことを表明し、達成可能な計画であることを保証する。

 2, 経営者の株式の取り扱い:
 経営者が事業計画終了前に退任する場合は経営者の株式は退職事由に
 より取り扱いを定める。

 3, ラチェットの仕組み:
 インセンティブの契約。

 4, 投資ファンドの事業のモニタリング権:
 定期的な営業報告、年度計画の承認権、取締役の選任権等。

 5, エグジットの選択:
 即ち、投資ファンドがエグジットで事業売却先を決定した場合には、経営者
 は自らが買い取るか、あるいは投資家の指定した先にその株式を売却しな
 ければならない等が取り決められる。

 6, 解散時の分配:一般には経営者と投資ファンドは異なる種類株により
 投資がなされ、投資ファンドは清算の際は、経営者株主よりも配当優先権
 を有するといったことが取り決められる。

 このように、MBOとは投資ファンドが経営者が主導する事業に資金パートナー
 として参加し経営者を支援する仕組みである。
 投資収益は経営者のインセンティブに乗り実現していくのである。
 さらに、この仕組みを担保する明確な契約を行い、モニタリングを実施して、
 投資収益の実現を確実にしていくのである。

 要するにMBOの本質は、経営者が主導するバイアウト案件で、その事業
 計画の信頼性と経営者のコミットメントを評価して投資を行う手法なのである。

 今回は 「投資の類型(背景とMBO)」 について説明した。
 次回 「投資の類型」 ではMBI(マネージメントバイイン)とIBO(インスティ
 テューショナルバイアウト)について説明していこう。

 


●ご注意●
この講座は、著書「プライベートエクィティ投資」の要約を掲載 していますので、
無断転載はご遠慮ください。


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