投資銀行・不動産金融・投資ファンドの転職支援 kotora

投資ファンドを研究する人のための情報サイト - プライベートエクイティ.jp

(提供:金融の転職、経営/コンサルの転職をサポート【株式会社コトラ】

プラベートエクイティ編

  投資ファンド業界情報TOP > プライベートエクイティ編 > 投資契約

第19回 PEファンドの実務〜投資契約〜

CVC Asia Pacific シニアエグゼクティブ/東洋学園大学客員教授 −添田 眞峰
 
 ▼投資契約

 前回は経営者の雇用契約とインセンティブストラクチャーについて説明した。
 今回は 「投資契約」 について説明する。


 【投資契約】

 投資契約とは株主と投資先企業との間に投資に関連する諸条件や、会社
 運営上の重要事項の意思決定などにつき株主、投資先企業が予め合意
 する私的な契約である。
 株主間の諸権利や投資に関する条件もこの契約で取り決める。

 【A.MBOのケースにおける投資契約の事例】
 株主に複数投資ファンドと経営者株主が加わったMBOの投資契約では一
 般的に次のような事項が取り決められる。

 1.投資証券とその条件
 ・普通株式あるいは優先株式等、発行する株式の種類。配当条件や転換
  条件等の取り決め。
 ・会社設立関係書類や、設立手続きの適法性に関する表明。
  さらに、取引完了、資金の受け渡し条件の取り決めを行う。

 2.投資先会社が負担する義務
 投資家の同意を要する事項
 ・一定の金額を超える新規設備投資
 ・一定の金額を超える資産売却
 ・一定の金額を超える借入
 ・企業買収や株式の新規発行
 ・年度事業計画の承認
 ・経営者株式の売却等

 投資家に対する情報提供
 ・月次損益計算書、月次貸借対照表、月次キャッシュフロー計算書
 ・年次決算関連書類
 ・取締役会議事録
 ・必要に応じて投資家の要求する情報と会計書類の閲覧
 ・経営者による月次経営報告書

 3.投資家の権利
 ・取締役選任権
 ・取締役会へのオブザーバーとしての参加権

 4.経営者株主の表明と誓約
 ・決算書類に関する適正な会計処理
 ・事業計画が適切な条件の下に策定された旨の表明
 ・その他会社価値に影響を及ぼす事項についての表明と誓約

 5.株主間の株式の取り扱い
 ・投資家株主間
 ・投資家が中途売却する場合の手続き
 ・投資家と経営者株主
 ・経営者株主が退社する場合の株式の取り扱い

 6.経営者株主へのインセンティブスキーム(別途の契約による場合もある)

 【B.主要な条項についてのコメント】

 1.取締役の選任権
 投資ファンドが過半数以上の普通株式を保有すれば、商法の規定に従い
 全員の取締役を選任することも可能である。
 この条項は株主間、あるいは株主と会社間でコーポレートガバナンスをど
 のように設計するかの問題である。

 欧米の市場では投資ファンドの派遣社員が取締役会の多数を形成するこ
 とは少ない。
 会社の活動に関する取締役個人の責任の問題もあるし、さらには、株主が
 株式を過半数以上保有しかつ取締役会も実質的に支配していると、事業リ
 スクが株主に移転する恐れがあるからである。

 従って、基本的には取締役会は投資先の経営者や社外重役、投資ファンド
 の代表から構成され、合議により会社の業務方針を決める。
 ある意味では、取締役会は投資ファンドが100%株主であっても独立の
 取締役会としての機能が期待されるのである。

 複数の投資ファンドにより投資が行われる場合には、各ファンドは
 コーポレートガバナンスに関わるため少なくとも1名の取締役の選任権を
 保持することを希望する。
 特に米系の年金基金が出資している投資ファンドでは投資のガイドライン
 としてコーポレートコントロールの基準が設定され、取締役の選任権の保持
 が投資の要件となるからである。

 投資契約は会社機関への関わり方を定める任意の契約であるから、経営者
 株主が投資ファンドの取締役派遣を制限することもできる。
 一般にはIBOスケイルの投資においては投資家側が過半数以上の取締役
 選任権を握り、MBOのケースやベンチャーキャピタル投資になると投資家は
 1名ないし2名の取締役選任権を確保する取り決めになる。

 2.経営者株主の表明と誓約
 本来の意味でのMBOは、経営者株主が案件を仕立て、投資ファンドは経営
 者株主の求めに応じて資金を投下する関係になるので、投資ファンドは会社
 内容を熟知している経営者株主から経営の重要事項や、事業計画の策定の
 前提条件、予測の合理性につき経営者の表明と誓約を受けるのが一般的で
 ある。

 また、ベンチャー企業の資本調達も同様の考えで起業家が表明と誓約を行
 う。

 3.株主間の株式の取り扱い
 MBOでは、既に触れたように、経営者株主の退職事由に従い、その保有株
 式の取り扱いを定める。
 投資家株主間の問題は少数株主の保護と支配株主の共同でエグジットを実
 行するための一致した行動を確保するための権利の調整である。

 例えば、以下のような方法がある。
 i.ドラッグアロング
 株主(一般には支配株主であるが、逆の場合もある)が株式を売却する場合
 には、他株主も同じ条件で定められた売却先に所有株式すべてを売却しな
 ければならない。
 ただし、少数株主を保護するために、提示された条件以上で当該少数株主
 が全額買い取ることができるという条件が付与される場合もある。

 ii.タグアロング
 株主は他の株主の売却に際し、同じ条件で同じ買い手に売却する権利を有
 する旨の契約。つまり、株主は自ら株式売却の行動を起こす場合には、他の
 株主の株式についても同条件で売却する義務を負う。

 iii.先買権
 株主は株式を売却する場合、その条件を他の株主に提示しなければならず、
 かの株主は提示された売却条件以上の価格で先買権を有する。

 バイアウト投資においては、株主はパートナーとして一致してエグジットする
 のが基本的な考え方である。
 また、ベンチャー投資やその他の少数株主の立場の保全のために、必要な
 権利を確保しなければならない。これらの、契約の仕組みを組み合わせなが
 らどのように株主間の行動を縛りあい、また、株式売却の権利や少数株主の
 保護を実現するのかを設計するのである。

 今回は 「投資契約」 について説明した。
 次回は投資の類型について述べたいと思う。


●ご注意●
この講座は、著書「プライベートエクィティ投資」の要約を掲載 していますので、
無断転載はご遠慮ください。


投資ファンド情報
フリーキーワードで探す
系列
国内系 外資系
証券 銀行
商社 生損保
事業会社 政府系
独立 その他

投資カテゴリー
バイアウト 再生企業
ベンチャー 不動産
債権 区別無し

 

投資ファンド業界情報 満載のメルマガ 金融の転職、経営/コンサルの転職をサポート【株式会社コトラ】 金融セミナー検索サイト セミナーサーチ 大学院生、理系大学生のための就職・就活情報サイト「コトラミ」 ビジネスパーソンのインテリジェンス情報サイト「コトラプレス」





  copyright(c)kotora all rights reserved会社概要お問い合わせサイトマップ