投資銀行・不動産金融・投資ファンドの転職支援 kotora

投資ファンドを研究する人のための情報サイト - プライベートエクイティ.jp

(提供:金融の転職、経営/コンサルの転職をサポート【株式会社コトラ】

プラベートエクイティ編

  投資ファンド業界情報TOP > プライベートエクイティ編 > 企業価値とレバレッジ

第14回 PEファンドの実務〜企業価値とレバレッジ〜

CVC Asia Pacific シニアエグゼクティブ/東洋学園大学客員教授 −添田 眞峰


企業価値とレバレッジ

前回は事業計画の骨格について説明した。
今回は 「企業価値とレバレッジ」 について説明する。


【企業価値とレバレッジ】

バイアウト型投資は、キャッシュフローが安定して期待できる会社
を対象に、経営者の新たな事業計画とその実行により実現される
キャッシュフローによって、企業価値の増大を目指す。

しかし、それだけでは必ずしも期待する投資利回りを実現するには
不十分である。そこで、負債のレバレッジ効果を利用して更に
企業価値を押し上げようと目論むのである。

ここで、企業価値とは何かということと、負債を利用したレバレッジ
効果による価値の創造の仕組みにつき触れておきたい。

1、【企業価値】

<企業価値とは>
個人オーナー企業を例に企業価値を考えてみよう。

資金調達はオーナーの払込資本だけに依存し、この資金で設備を
購入し、製品を製造し、市場で販売することで利益を上げている。
稼得された利益はオーナーが配当として受領するか、企業の内部に
留保されて新たな設備投資や事業の拡張資金に使われる。
このような企業では、オーナーの関心は収入から支出を差し引き
キャッシュがその程度企業に残るかである。

オーナー株主は、この事業から生み出される営業キャッシュフロー
から拡張投資として支出される現金を差し引いたフリーキャッシュ
フローの全額を配当として受け取る。オーナー株主には企業が継続
して資金余剰を稼ぐ限りは、配当金が継続的に支払われる。

もし企業を解散するときには設備を売却して資金化し、他に債権者
がいればまず債権者に設備売却手取金を分配し残りをオーナー株主
が清算特別配当として受け取る。

このように清算を前提に企業価値を考えると、企業価値はフリー
キャッシュフローの現在価値と清算手取金の現在価値の合計であり、
この合計金額から債務を差し引いた金額がオーナー株主の受け取る
株主価値となる。

この例からも容易にわかるように、企業価値、株主価値は
以下のように定義される。

企業価値=フリーキャッシュフローの割引現在価値
株主価値=配当の割引現在価値

<企業価値と株主価値の関係>
企業が生み出すフリーキャッシュフローに対する各債権者の
請求権の順位は、債権の発行契約や貸付契約により、企業と
債権者との間であらかじめ取り決めがなされる。

企業が清算される時に、負債を差し引いた残りの価値が株主に
配分される。
つまり、フリーキャッシュフローの現在価値が契約により負債と
株主に割り振られるのである。
その結果、企業価値は負債価値と株主価値の合計と等価になる;

企業価値=負債の価値+株主価値
負債の価値;負債1の価値+負債2の価値+負債3の価値など優先
順位による
株主価値;優先株の価値+普通株の価値+劣後株の価値など優先
順位による

<企業価値と負債>
企業価値はその資本構成によって影響を受けない。
モジリアニ・ミラーによる有名な定理である。
モジリアニ・ミラーは借入金が多い企業でも借入金の少ない企業
でも企業価値の変わらないことを証明している。
なぜ借金の多い企業の企業価値が借金の少ない企業の企業価値と
同じなのか疑問に思う方が多いだろう。

企業価値=負債の価値+株主価値であったが、負債が増加すると、
株主はキャッシュフローから期待できる配当が減り財務リスクが
高くなる。
これにより株主のリスクが増加する。

リスクの増加にはより多くの期待収益率を求めるので、結果的に
株主価値は下がり、負債の価値が相対的に大きくなって企業価値
と釣り合うのである。

但し、負債は無限に借りられるわけではなく、負債の比率がある
一定水準を越えると、財務リスクの増加によって企業の倒産リスク
が高くなるので、負債を提供する人がいなくなるのである。

2、【負債を利用したレバレッジ効果】

<レバレッジ効果>
レバレッジとは梃子のことである。
レバレッジ効果とは負債を梃子にして株主価値を上げるという
意味で使われるファイナンス用語である。

前に説明した企業価値と負債の価値、株主価値の関係をもう一度
見てみよう。

企業価値が増加するとは、フリーキャッシュフローが増加するという
ことであった。
フリーキャッシュフローが増加せず一定であれば、企業価値も一定
である。

ここで、負債が減れば企業価値が変わらなくても株主価値は
増加するという関係がある。
単純な原理であるが、ファイナンス理論がモジリアニ・ミラーや
その他の先人により精緻化してくるまでは、経営者は負債を
増やすのは危険と考え、負債の増加は企業価値を減らすと直感
していたのである。

こうしたファイナンス理論の発展で、企業価値という概念が割引
キャッシュフローにより理論的に明確に定義されるようになり、
企業をめぐる法律的な株主の権利の価値と債権者の権利の価値は
経済的には企業価値の分配・配分として捉えられるようになった。

これにより、リスクとリターンを基準に企業価値を株主・債権者間
分配するという考え方が一般に理解されるようになった。
銀行には、より高い利率を課すことにより、より高い負債比率を
受け入れる正当な理屈を与え、株主は銀行のリスク負担により、
より大規模な投資が出来るようになったのである。

さらにこの時期、金融の自由化と共に、銀行にとっては市場原理
に沿った貸出行動をとることが、銀行の生き残りのためにも是認
される環境になり、折りしも市場で起こりつつあった敵対的買収
への融資を銀行が積極的に供与する環境も生まれたのである。

金融の自由化とファイナンス理論に支えられて、1970年代の終わり
頃から、レバレッジ効果を利用した企業買収が投資ファンドにより
盛んに行われるようになった。
バイアウトという投資形態が誕生したのである。

バイアウト型投資は一般にレバレッジ効果を利用して投資収益率を
上げる仕組みを構築するものであるが、中でも特にレバレッジ比率
の高い取引をLBO(Leveraged Buy Out)と呼んでいる。

今回は 「企業価値とレバレッジ」 について説明した。
次回は日本の銀行と買収金融について説明する。

 


●ご注意●
この講座は、著書「プライベートエクィティ投資」の要約を掲載 していますので、
無断転載はご遠慮ください。


投資ファンド情報
フリーキーワードで探す
系列
国内系 外資系
証券 銀行
商社 生損保
事業会社 政府系
独立 その他

投資カテゴリー
バイアウト 再生企業
ベンチャー 不動産
債権 区別無し

 

投資ファンド業界情報 満載のメルマガ 金融の転職、経営/コンサルの転職をサポート【株式会社コトラ】 金融セミナー検索サイト セミナーサーチ 大学院生、理系大学生のための就職・就活情報サイト「コトラミ」 ビジネスパーソンのインテリジェンス情報サイト「コトラプレス」





  copyright(c)kotora all rights reserved会社概要お問い合わせサイトマップ